健常者を含めて生産性向上効果 就労支援や療育の領域では「構造化」という言葉がよく使われる。精神障害や発達障害を持つ方が、仕事を分かりやすく、やりやすくすることを指す。
具体的には、①物理的構造化、②時間の構造化(スケジュール)、③活動の構造化、④視覚的構造化がある。たとえば、口頭指示や会議の内容が理解できない障害特性のある方には、「④視覚的構造化」によるサポートが効果を発揮する。メモ、メール、図、文書、マニュアル、手順書などで指示して視覚化を図る。記録に残せば、本人の理解の誤りや失念は減り仕事が進めやすくなる。口頭で指示する場合は、聞き手がメモを取れるようにゆっくり話すなどの工夫も必要である。
手順書については、
青森県が「障害者作業手順書作成支援」というサイト※を設け、つくり方をまとめており参考になる。実際に企業が作成した「手順書」も公開し、清掃や食品加工、ピッキングなどの作業の事例を掲載する。
作成の狙いは、障害のある方に仕事の内容を分かりやすく伝えることと、できるだけ仕事をシンプル化することである。作成時にはまず、仕事の手順を分析する。既存の仕事の手順を行動単位に分解し、時系列に沿って並べていく。そして、一つひとつの行動単位について、障害のある方が理解できるか、実行できるか、より分かりやすく簡単にできないか、本当に必要なのか、他の方法はないのかなどの観点で点検する。
より細かい構造化の手法は、以下の書籍も参考になる。さまざまな手法を把握できる。
「よくわかる!自閉症スペクトラムのための環境づくり 事例から学ぶ「構造化」ガイドブック』(Gakken刊)
『働く自閉症者のための作業改善の工夫とアイデア 構造化で活かす一人ひとりの特性』(エンパワメント研究所刊)
『TEACCHプログラムに基づく自閉症児・者のための自立課題アイデア集』(中央法規出版刊)
障害のある方のための仕事の構造化は、障害者以外にも役に立つといわれる。手順書づくりによって仕事の進め方の見直しが行われ、生産性向上という効果が働くすべての人に及ぶからである。
※青森県ホームページ
障がい者作業手順書(こども家庭部 若者定着還流促進課)