「障害者の職業能力の開発及び向上」とは?障害者雇用促進法第5条
全ての事業主は、障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、障害者である労働者が有能な職業人として自立しようとする努力に対して協力する責務を有するものであって、その有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに適正な雇用管理並びに職業能力の開発及び向上に関する措置を行うことによりその雇用の安定を図るように努めなければならない。
障害者を雇用する企業にとって、障害者の職業能力の開発及び向上のために必要な措置を行うことが、事業主の努力義務であると明記され、令和5年4月1日より既に施行されています。では具体的に「障害者の能力開発及び向上のために必要な措置」とは何を指すのでしょうか。
労働政策審議会障害者雇用分科会(令和5年4月17日)の議論では、障害者の能力開発及び向上の取り組みとして望ましい取り組みのポイントを次のとおりにあげています。
① 企業における人材確保・育成の観点から、雇用後においても障害者本人の希望等を踏まえた計画的かつ必要な職業能力開発・向上の機会の提供
② 人事評価制度や報酬、昇格などにより、一人ひとりが目標を持ち、やりがいや意欲をもって働き続けること。
③ 定期的な面談等を通じ、障害者個々人の職業能力や職務遂行の状況、体調、モチベーション、必要な合理的配慮等について把握し、アセスメント結果を障害者本人と共有すること。継続的なモニタリングが障害のある方々の職業人生全般においても必要不可欠である。
④ モニタリングに基づき、業務分担や配置、提供する合理的配慮の内容についてその都度見直すこと、報酬や等級等の処遇に反映させていくこと
取組のポイントをみると、障害者雇用は何か特別なことではなく、仕事の達成度を評価して処遇に反映すること、研修の機会を設けることなど、通常スタッフの人材育成の一環であるとみることが出来ると思います。ただ、障害者雇用の場合は、ご本人の体調管理、勤務時間、業務量の管理などで、会社に求めるニーズが人により大きく異なります。ですので、障害者の職業能力の開発・向上を図るには、一人一人に対しての、継続的なモニタリングが一般的な人材育成に比べて、より大切になります。