2024.03.26

<会員活動紹介>
Vol.1 特定非営利活動法人農楽郷ここ・からだ
代表 日野口 敏章さん

<会員活動紹介>
Vol.1 特定非営利活動法人農楽郷ここ・からだ
代表 日野口 敏章さん

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【プロフィール】
55歳で建設会社を退職後、青森県十和田市にブルーベリーの農園カフェを開業。地元の保健師に「ブルーベリー農園を精神疾患の人たちの仕事にできないか」と相談されたことをきっかけに、2009年障害者就労継続支援B型事業所を開設。2017年に特定非営利活動法人 農楽郷ここ・カラダに改称。現在73歳。

障害者が1年中働ける仕事を作る
初めはブルーベリーの栽培を行っていましたが、収穫後は農閑期が生じてしまいます。
暇は人をダメにすると言いますが、それは障害者も同じです。暇を作らないためにも1年中作業ができ、且つ障害者の能力を活かせる農作物は何かと探し続けた結果、「にんにく」にたどり着きました。
にんにくは9月下旬から10月上旬頃に植え付けを行い、翌年6月に収穫、冷蔵設備があればその翌年春まで保管でき、その間に二次加工の作業も行えます。また、にんにくの皮むきなどの加工作業は集中力を要するため、障害者に適しています。

1年を通じて作業を行っている就労事業所は、まだそう多くはないのではないでしょうか。障害者が楽しく働ける場とそれに適した農作物を探すことが自分の仕事と考え、好事例となる全国の事業所へ足を運んで見学させていただき学ばせてもらっています。
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付加価値の高い仕事を作る
過去には、当事業所でもパチンコ台や水道メーターの解体作業・医療部品の組立作業などを行ってきましたが、このような内職作業では一個何十銭という単価で、収益には全くつながりません。人から貰う仕事は、仕事の出し手は「安いから仕事を出す」、仕事の受け手も「仕事であれば何でもいい」となってしまうために工賃が上がらない。人から貰う仕事ではなく、“自ら仕事を作る”という考えを事業者が持たなければ工賃を上げることなどできません。青森県のB型事業所の工賃は月額平均約1万3000円ですが、当事業所の工賃は月額工賃3万3000円で、多い人は月額7万円近く貰っている人もいます。

私は工賃を上げるため、にんにくを買ってもらえる企業へ営業に行っています。某外食チェーンの餃子にも当事業所のにんにくが採用されています。また、シャインマスカットや巨峰、さつまいも、オリーブ、芽にんにくなどの農作物の栽培や加工にも挑戦しています。特に芽にんにくは、高床式の水耕栽培で1年を通して収穫ができ、腰を屈める必要がないので身体への負担も軽く、作業効率も高いです。今では「奥十姫にんにくの天ぷら」として有名リゾートホテルで提供され、人気の特産品になっています。
付加価値の高い仕事を作るため、今後も新しい販路の開拓や農作物の栽培・加工に努めていきたいと考えています。
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障害者が働く選択肢に「サテライト型」があってもいい
私は障害者が働く場には様々な選択肢があっても良いと考えています。私のところはB型事業所ですが、サテライト型という働き方も良いと思います。
「日本の農業×障害者」は親和性と持続性が非常に高いと考えています。

青森県十和田市は太平洋側に位置し、北国といえども年間を通して降雪量も少なく、日照時間も長めで温暖なため農業に適した地です。農地も豊富で、当事業所も10万㎡(約3万坪)の農地を有しています。今後は当事業所の農地を促進協会員企業の方々と活用し、協働していきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
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【記事紹介会員情報】
特定非営利活動法人農楽郷ここ・からだ
理事長 日野口 敏章
青森県十和田市東十五番町55番地3
TEL 0176-23-8100 メールアドレスnougakkou@themis.ocn.ne.jp


取材・執筆:大森 英直 / Oomori Hidenao 事務局長



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